注射が大の苦手、
怖がりで超ビビリ、
血の話で気分悪くなる!
今回は、
そのような全くもって献血というものに向いてなさそうなTという一人の女が、献血に初挑戦した話をしよう。
読んでも役には立たない可能性が高いが、
Tと同じように注射が苦手だけど献血に興味がある人、
好奇心旺盛で誰かの献血体験談を読んでみたい人には
少しは役に立ったり楽しんでもらえるかもしれない。
注射苦手の超ビビリが初献血に挑戦!
時は2020年12月某日。
Tにとって、その日は特別な日だった。
この世に産声をあげて以来、初となる「献血」に挑戦する日なのだ。
Tは注射への恐怖心が強く、怖がりである。
さらに血の話などを聞くと腸(はらわた)がよじれるような気持ち悪い感覚に襲われるといった超チキンで豆腐メンタルの持ち主だ。
なぜ、
そんな明らかに献血に不向きな人間が、挑戦しようと考えたのか?
職場に何度か献血バスが来ており、献血に協力してみたいとの気持ちがあったのだ。
しかし怖い。
これまでは、いつも恐怖が勝っていた。
しかし、今回はラストチャンスだった。
Tは退職が決まっていたのだ。
そこで腹をくくって挑戦してみたのだ。
腹をくくったつもりだったが、やはり怖いもんは怖い。
看護師さんがTの両腕の血管を確認しながら
「いい血管!どちらの腕でも問題なく採血できそうですね!」と朗らかに言った。
そう、
Tの腕は昔からよく血管が浮き出ており、
採血にピッタリの腕なのだ。
小学生の頃、
男子に言われた「お前の腕、男みたい」という言葉をTは今でも覚えている。それ以来、自分の腕を多少恥じるようになり、コンプレックスの一つとなっていた。
そんなコンプレックスの腕が役に立つことがあったとは!
Tの胸中に湧いたのは何とも言えない不思議な感情だったが、喜び成分が多いのは間違いなかった。
そんな喜びも束の間。
献血バスの席が空くまで待ってる間に、再び不安と緊張が高まる。
怖い…。
やめたい、
でもやめたくない。
無情にも呼び出しが来た。
も う 引 き 返 せ な い 。
建物から出て、寒さと緊張で震えつつバスへ向かう。
初めて乗る献血バス。
そこは暖かく、看護師さんや献血者のおしゃべりで活気に満ちた様子で少し安心した。
さらにありがたいことに、担当の看護師さんがとても陽気で話し上手だった。
おかげで不安でブルブルだったTの強張りはかなりほぐれた。
そして、ついにその時が訪れる。
「じゃあチクッとしますよ~」
ついに針が刺された。
やはり、その瞬間の痛みはある。
でも耐えられる。
看護師さん「めちゃくちゃ順調に取れてますよ~」
首尾よく採血が進んでいると聞くだけでも安心できた。
この看護師さんは本当に話が面白く、Tは何度もでかい声で笑ってしまった。
笑っているうちに
「はい、終わりましたよ!」
おそらく5分も経っていないはず。
早!!
もう400mlも取れちゃったの!?
こうしてTの初めての献血は、あまりにあっけなく終わった。
コンプレックスが強みに変わった
看護師さんから「今日の人達の中で一番早いかも」と言われた。
マジか!
恐怖時間が終わった安心感に加え、
予想外に褒められたことによりTのテンションは上がった。
「私すげーんじゃ??」
「もしかして…私の体ってめちゃくちゃ献血向きなのか!?」
人によっては血管が細かったりして針がうまく刺さらなかったり、刺さってもなかなか血が取れなくて時間がかかってしまったりして双方大変な場合もあるだろう。
しかしTの場合は…
・貧血知らずの血液の濃さ。
・血管が太く浮き出ているので、針を刺すのが簡単。
・血管が柔軟で血の出が早く、すぐ採血終了する。
これは…もはや献血の申し子か?
「注射コワイ、血コワイ」のメンタルさえ強化されれば、完全に献血向きな体なのかもしれない。
初めての献血で、Tは自分の知らなかった新たな強みに気づいてしまった。
あんなに怖くて避けていたのに。
初めて知る尊い感情
献血が終わり、Tの心にはこれまで感じたことのない感情が湧き上がった。
的確な表現が未だに思いつかないのだが、その感情はとても尊く、きれいな感情だった。
「今日、自分が勇気を出して献血した血で誰かの命を救えたのかもしれない。」
医療従事者でもない自分が、間接的にでも誰かの命を救う助けができたんだ、とじわじわ感動の念がこみ上げる。
そして、Tは自分自身を少し誇らしく感じるようにもなった。
こんな自分にもできることはあるのだ。
そう思うと、痛みや恐怖など全く気にならない。
輸血が必要な患者さんは、きっともっと苦しい状況下にあるのだから。
ちなみにTは採血終了後、初めての献血の達成感のあまり軽くスキップして気分が悪くなったのだが、そんな苦しさよりも、初めて知るこの清らかな尊い感情のほうがよっぽど強かった。
(献血スタッフの皆さん、あの時はご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。)
そして献血にハマりだす
この初めての献血以来、Tは献血に協力するようになった。
この行いで誰かを救えるなら、今後も継続して献血していこうとTは考えている。
献血というのは、想像とは違って、
自分のメンタルにとって好影響な上に誰かの命を助けることができる素晴らしい行為だと知ってしまったTは、もう以前のただ恐怖に怯えていたTではない。
勿論、今でもやはり緊張はする。
正直、成分献血も初めての時はめちゃくちゃ恐怖でブルブルしていた。
しかし、一度経験すると恐怖心はほぼ消えた。
ただ、未知のものが怖かっただけなのかもしれない。
知らないものを知ったり未知へ挑戦することで、人は簡単に変われるのだ。
さて次はどこの献血ルームへ行こうか。
Tにはこんな新しい楽しみもできたのだ。
こんな記事だけど、これで献血仲間が増えたらこの上なく嬉しい。
ではでは!
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